En cherchant un petit bonheur.
『小さな幸せを探して』
今朝の体調はまぁまぁ良好。相変わらず多少の立ちくらみはあるものの、お腹の張りはさほどでもない。昨日から張り止めの薬を飲んでいるので、いつもは食べたり食べなかったりの朝ごはんだけれど、薬を服用するために、朝起きて辛かった場合に備えて、昨日の夜のうちに用意しておいたおかゆ(まぁご飯が余っただけっていうのもあるけれど)を一膳食べる。
一昨日の話になるけれど、実は皇居へ行った。先日と同じく観光で来ているフランス人の友達を案内したわけだが、先週、どこへ行きたいかと訊いたところ「皇居」と言われたので、調べてみたところ、平日のみではあるが、無料のガイドツアーが開催されていることを知った。皇居の東側は、門が開いていればいつでも入ることができるのだが、西側は通常このツアーに申し込みをしないと見学ができない。自分自身も興味があったので、いい機会だとさっそく予約を入れるが、申し込みの受付は最速で希望日の4日前まで(外国人の場合は前日でもオーケーみたいだ)。とはいえ、今年からネットでの受付が開始され、名簿の提出にわざわざ事前に出向く必要もなくなったようで、手続きはいたってシンプルだった。
というわけで、張り切って楽しみにしていた皇居参観だったのだけれど、前日に取材先へ向かう途中の電車の中で意識を失いかけたりして、体調にはちょっと不安があった。おまけに外は結構な雨。どうしようか迷ったけれど、とりあえず連れて行くだけ連れて行ってあげて、自分はツアーには参加せずに終わるまで待機しているとかにしようと、家を出た。
ところがやっぱり電車の中で、前日と同じ区間で気分が悪くなった。おまけに微妙に朝のラッシュの時間帯にあたって、車内は結構混んでいた。最初から座ってはいたけれど、優先席の真ん中だったので、姿勢を変えることができず、かなり辛くなり、気がつくと「大丈夫ですか? 今、気を失われてましたよね?」と隣に座っていた女性に声を掛けられる。
どうにかこうにか待ち合わせ場所へ辿り着き、合流して、ツアーの受付場所の桔梗門へ。雨が降っているので、中止になったりしないのかなぁと思ったけれど、ふつうに決行。受付で身分証を提示し、名簿の照合が済むと、さらに奥の窓明館という休所へ通される。そこでまた名簿のチェックを受け、出発まで待機。こんな雨でも参加者は結構居て、外国人を含め、40人ほどが集まっていた。
あらかじめ、ガイドの人に所要時間や、途中休憩があるのかなどの詳細を確認する。
「実は妊娠しているので、ちょっとどうしようか迷っています」
「そうみたいですねぇ。何ヶ月ですか?」
「えぇっと、来週で9ヶ月に入ります。それこそ、秋篠宮妃と同じ時期に出産するんです」
「えぇっ~!! うーん、途中歩きっぱなしってわけではありませんけど、座ったりする場所はないので。ただまぁ、なんかあったらすぐに声を掛けていただければ。すぐそこに宮内庁病院もありますしね!」
そんな冗談を交わしつつ、内心「あっ、そっか! 宮内庁病院になんてそうそうかかれるもんじゃないし、ちょっとおいしいかも~」なんて一瞬思ったけれど、いやいやそんなことを言っている場合じゃない。そんなことになったとしたら、何よりも健康面で一大事だ。この期に及んで、自分をネタにしてはいけないのだと、愚かな自分を諫める。
待合場所のこの建物のなかには、売店が併設されていて、菊の紋章のグッズがいろいろと売られていて、それなりに興味深かった。とはいえ、あえて買おうと思うほどではなかったけれど。
ツアーの出発の前には、概要のビデオが流れ、皇居を簡単に説明。出発のときになって、先ほどの案内の人が「雨が強くなってきましたし、やっぱりこちらで待たれたほうがいいと思いますよ」と言ってきて、一応、友達のほうは英語の音声ガイドも渡されたことだし、大人しく従うことに。私のほうは、またいつだって来られるわけだし、なにより雨の坂道で滑って転んだりしたら大変なことになる。
ガイドの人は、親切にも売店のおばちゃんにも事情を説明してくれ、「何かあったら声をかけてくださいね」と優しく接してくれ、さらにおばちゃんは「寒いかもしれないから」と、防寒着代わりに雨合羽を持ってきてくれたり、退屈しないようにテレビをつけてくれたり、本当に親切にされた。友達を見送った後は、お言葉に甘えて、広い広い館内を独占し、長椅子に横になっていた。
一時間ちょっとで、ご一行様が戻ってきて、友達に感想を聞いたり、写真を見せてもらうが、雨が降って傘をさしていたせいで、残念ながらあまりいいショットが撮れなかったそうだ。
その後は、ランチタイムの丸の内へ繰り出し、久々に丸ビルへ行って、てんぷら屋さんに入って天丼を食べた。いつもいつも家で妊婦食だといい加減飽きるし、たまにはやっぱり人と一緒に楽しく外食したい。それでもふだん友達は昼間は働いているし、夜は夜で私のほうがあまり遅くなれないから、ゆっくりとは難しくて、彼はそのちょうどいいお相手になってくれた。おまけに妊娠がわかる前は、日本に帰っても語学力を維持するために、フランス語教室に通うか、個人レッスンを夏から始めようと思っていたので、一石二鳥。いまさら、お金を払って勉強するっていうのもなんだかちょっとバカらしいような気がしていたので、こういうほうがよっぽどいい。
その後は、現金を引き出したり、JRパスという外国人旅行者向けの旅行券があるのだけれど、その使用開始手続きをしたいという彼の旅の計画をサポート。こうして見ると、観光地としては整備されているはずの東京駅でさえ、当事者の目から見たら事足りない、不親切なことがたくさんあるものだ。例えば、東京駅のような大きな駅ではたくさんの窓口があるのだけれど、切符を買うだけが専用だったりいろいろだ。あとは、新幹線の切符を買うにしても、電光掲示板は日本語/ローマ字表記で切り替わって、外国人にもわかるようになっているけれど、「東海道・山陽新幹線」「東北新幹線」といった、電光掲示板の上にあるタイトルのほうは漢字のみ。これが私たちにとっては、外国の例えば韓国の空港であることを想定して、タイトル部がハングル文字しかなかったとしたら、どんな感じなのか想像できるだろう。
所用を済ませた後は、大丸のデパ地下へ。軽く流すつもりだったのが、いろいろと試食があり、フランス人を連れて、急遽「Degustation(試食)」の時間に。私としてはいろんな日本の味を紹介することもできたし、いろいろ味見できてうれしかったけれど、さすがにフランス人にとっては、饅頭を食べたかと思えば、辛子明太子を食べさせられたりして、少々ヘビーだった模様。
あとは偶然にも、パリでよく食べていたブランジュリーのKayserを発見。そのあまりの懐かしさに、迷わず買って帰る。久々に味わうそれは、やはり日本の湿度ではその触感を再現できてはいなかったけれど、味わいはほとんど同じだった。Kayserはパリのブランジュリーのなかでも、ちょっと高級なお店だったのだけれど、高級とはいえ、たかがパン屋なので、相場は知れている。一般的なブランジュリーがバゲット1本0.75ユーロぐらいのところを1ユーロとか。わずか数サンチームというその程度の差でも、“ちょっとした幸せ”を感じることのできるところが、当時、兼業学生でそれほど贅沢もできなかった私の心を掴んだ。だから、たとえパリのお店とまったく同じでなくても、私にとってはそんな気持ちを思い出させてくれる別の意味合いのあるお店のひとつなのだ。
懐かしの味を噛み締めながら、ふと、一度取材をさせてもらったことのある、パリ在住で企業のパッケージ広告なども手がけ、パリ生活の自著を出されるなど、活躍されているイラストレーターさんのことを思い出した。彼女とは、インタビュー取材の仕事も半分忘れて、フランスのパンについてカフェで何時間も熱く語り合った。そのとき、彼女はしきりに「バケットは何もつけなくても、噛めば噛むほどに小麦の味わいが感じられるのがいい」と言っていた。まさにそう。Kayserのパンを日本で久しぶりに食べてみて、一口噛むごとに良質な小麦粉の味わいを感じて、幸せな気分になった。
帰国前、そんなおいしいパンがもう食べられなくなるだろうと、Kayserだけでなく、散歩の途中の通りがかりに見つけた、気になるブランジュリーに立ち寄っては、ここぞとばかりに食べまくった。今思えば、そのときにももうジェダイはお腹のなかで育っていて、一緒にそれを味わっていたことになる。
そんなジェダイのためにも、日本に居ても、時々、ここのパンを食べさせてあげたいな。
今朝の体調はまぁまぁ良好。相変わらず多少の立ちくらみはあるものの、お腹の張りはさほどでもない。昨日から張り止めの薬を飲んでいるので、いつもは食べたり食べなかったりの朝ごはんだけれど、薬を服用するために、朝起きて辛かった場合に備えて、昨日の夜のうちに用意しておいたおかゆ(まぁご飯が余っただけっていうのもあるけれど)を一膳食べる。
一昨日の話になるけれど、実は皇居へ行った。先日と同じく観光で来ているフランス人の友達を案内したわけだが、先週、どこへ行きたいかと訊いたところ「皇居」と言われたので、調べてみたところ、平日のみではあるが、無料のガイドツアーが開催されていることを知った。皇居の東側は、門が開いていればいつでも入ることができるのだが、西側は通常このツアーに申し込みをしないと見学ができない。自分自身も興味があったので、いい機会だとさっそく予約を入れるが、申し込みの受付は最速で希望日の4日前まで(外国人の場合は前日でもオーケーみたいだ)。とはいえ、今年からネットでの受付が開始され、名簿の提出にわざわざ事前に出向く必要もなくなったようで、手続きはいたってシンプルだった。
というわけで、張り切って楽しみにしていた皇居参観だったのだけれど、前日に取材先へ向かう途中の電車の中で意識を失いかけたりして、体調にはちょっと不安があった。おまけに外は結構な雨。どうしようか迷ったけれど、とりあえず連れて行くだけ連れて行ってあげて、自分はツアーには参加せずに終わるまで待機しているとかにしようと、家を出た。
ところがやっぱり電車の中で、前日と同じ区間で気分が悪くなった。おまけに微妙に朝のラッシュの時間帯にあたって、車内は結構混んでいた。最初から座ってはいたけれど、優先席の真ん中だったので、姿勢を変えることができず、かなり辛くなり、気がつくと「大丈夫ですか? 今、気を失われてましたよね?」と隣に座っていた女性に声を掛けられる。
どうにかこうにか待ち合わせ場所へ辿り着き、合流して、ツアーの受付場所の桔梗門へ。雨が降っているので、中止になったりしないのかなぁと思ったけれど、ふつうに決行。受付で身分証を提示し、名簿の照合が済むと、さらに奥の窓明館という休所へ通される。そこでまた名簿のチェックを受け、出発まで待機。こんな雨でも参加者は結構居て、外国人を含め、40人ほどが集まっていた。
あらかじめ、ガイドの人に所要時間や、途中休憩があるのかなどの詳細を確認する。
「実は妊娠しているので、ちょっとどうしようか迷っています」
「そうみたいですねぇ。何ヶ月ですか?」
「えぇっと、来週で9ヶ月に入ります。それこそ、秋篠宮妃と同じ時期に出産するんです」
「えぇっ~!! うーん、途中歩きっぱなしってわけではありませんけど、座ったりする場所はないので。ただまぁ、なんかあったらすぐに声を掛けていただければ。すぐそこに宮内庁病院もありますしね!」
そんな冗談を交わしつつ、内心「あっ、そっか! 宮内庁病院になんてそうそうかかれるもんじゃないし、ちょっとおいしいかも~」なんて一瞬思ったけれど、いやいやそんなことを言っている場合じゃない。そんなことになったとしたら、何よりも健康面で一大事だ。この期に及んで、自分をネタにしてはいけないのだと、愚かな自分を諫める。
待合場所のこの建物のなかには、売店が併設されていて、菊の紋章のグッズがいろいろと売られていて、それなりに興味深かった。とはいえ、あえて買おうと思うほどではなかったけれど。
ツアーの出発の前には、概要のビデオが流れ、皇居を簡単に説明。出発のときになって、先ほどの案内の人が「雨が強くなってきましたし、やっぱりこちらで待たれたほうがいいと思いますよ」と言ってきて、一応、友達のほうは英語の音声ガイドも渡されたことだし、大人しく従うことに。私のほうは、またいつだって来られるわけだし、なにより雨の坂道で滑って転んだりしたら大変なことになる。
ガイドの人は、親切にも売店のおばちゃんにも事情を説明してくれ、「何かあったら声をかけてくださいね」と優しく接してくれ、さらにおばちゃんは「寒いかもしれないから」と、防寒着代わりに雨合羽を持ってきてくれたり、退屈しないようにテレビをつけてくれたり、本当に親切にされた。友達を見送った後は、お言葉に甘えて、広い広い館内を独占し、長椅子に横になっていた。
一時間ちょっとで、ご一行様が戻ってきて、友達に感想を聞いたり、写真を見せてもらうが、雨が降って傘をさしていたせいで、残念ながらあまりいいショットが撮れなかったそうだ。
その後は、ランチタイムの丸の内へ繰り出し、久々に丸ビルへ行って、てんぷら屋さんに入って天丼を食べた。いつもいつも家で妊婦食だといい加減飽きるし、たまにはやっぱり人と一緒に楽しく外食したい。それでもふだん友達は昼間は働いているし、夜は夜で私のほうがあまり遅くなれないから、ゆっくりとは難しくて、彼はそのちょうどいいお相手になってくれた。おまけに妊娠がわかる前は、日本に帰っても語学力を維持するために、フランス語教室に通うか、個人レッスンを夏から始めようと思っていたので、一石二鳥。いまさら、お金を払って勉強するっていうのもなんだかちょっとバカらしいような気がしていたので、こういうほうがよっぽどいい。
その後は、現金を引き出したり、JRパスという外国人旅行者向けの旅行券があるのだけれど、その使用開始手続きをしたいという彼の旅の計画をサポート。こうして見ると、観光地としては整備されているはずの東京駅でさえ、当事者の目から見たら事足りない、不親切なことがたくさんあるものだ。例えば、東京駅のような大きな駅ではたくさんの窓口があるのだけれど、切符を買うだけが専用だったりいろいろだ。あとは、新幹線の切符を買うにしても、電光掲示板は日本語/ローマ字表記で切り替わって、外国人にもわかるようになっているけれど、「東海道・山陽新幹線」「東北新幹線」といった、電光掲示板の上にあるタイトルのほうは漢字のみ。これが私たちにとっては、外国の例えば韓国の空港であることを想定して、タイトル部がハングル文字しかなかったとしたら、どんな感じなのか想像できるだろう。
所用を済ませた後は、大丸のデパ地下へ。軽く流すつもりだったのが、いろいろと試食があり、フランス人を連れて、急遽「Degustation(試食)」の時間に。私としてはいろんな日本の味を紹介することもできたし、いろいろ味見できてうれしかったけれど、さすがにフランス人にとっては、饅頭を食べたかと思えば、辛子明太子を食べさせられたりして、少々ヘビーだった模様。
あとは偶然にも、パリでよく食べていたブランジュリーのKayserを発見。そのあまりの懐かしさに、迷わず買って帰る。久々に味わうそれは、やはり日本の湿度ではその触感を再現できてはいなかったけれど、味わいはほとんど同じだった。Kayserはパリのブランジュリーのなかでも、ちょっと高級なお店だったのだけれど、高級とはいえ、たかがパン屋なので、相場は知れている。一般的なブランジュリーがバゲット1本0.75ユーロぐらいのところを1ユーロとか。わずか数サンチームというその程度の差でも、“ちょっとした幸せ”を感じることのできるところが、当時、兼業学生でそれほど贅沢もできなかった私の心を掴んだ。だから、たとえパリのお店とまったく同じでなくても、私にとってはそんな気持ちを思い出させてくれる別の意味合いのあるお店のひとつなのだ。
懐かしの味を噛み締めながら、ふと、一度取材をさせてもらったことのある、パリ在住で企業のパッケージ広告なども手がけ、パリ生活の自著を出されるなど、活躍されているイラストレーターさんのことを思い出した。彼女とは、インタビュー取材の仕事も半分忘れて、フランスのパンについてカフェで何時間も熱く語り合った。そのとき、彼女はしきりに「バケットは何もつけなくても、噛めば噛むほどに小麦の味わいが感じられるのがいい」と言っていた。まさにそう。Kayserのパンを日本で久しぶりに食べてみて、一口噛むごとに良質な小麦粉の味わいを感じて、幸せな気分になった。
帰国前、そんなおいしいパンがもう食べられなくなるだろうと、Kayserだけでなく、散歩の途中の通りがかりに見つけた、気になるブランジュリーに立ち寄っては、ここぞとばかりに食べまくった。今思えば、そのときにももうジェダイはお腹のなかで育っていて、一緒にそれを味わっていたことになる。
そんなジェダイのためにも、日本に居ても、時々、ここのパンを食べさせてあげたいな。
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