mercredi, juillet 12, 2006

Un bébé, c'est peut-être un magicien.

『赤ちゃんって、きっと魔法使い』

相変わらず、妊婦の心と体の変化の凄まじさに驚愕の日々を送っているのだけれど、シャワーを浴びるときにじっくりと自分の体を見て、特に妊娠を自覚して以来の変化は本当に驚異的だ。ただ急激な変化というのも母子ともに負担がかかって問題かもしれないので、どうしたもんか。果たして8ヶ月というのは、こんなものなのかやや心配になる。それにしても、人間というのはいかに「意識」によって支配された生き物なのかということを思い知る。

体の変化としては、ただ単にここ数日、暑いせいだけなのかもしれないが、やはり代謝が激しくてよく汗をかくようになった。もともとは夏でもあまり汗をかくほうではないのだけれど。それに汗をかくせいか、明らかに体臭が変わった。まぁこれも、今までは菜食中心だったのが、心して肉類や魚類、たんぱく質、乳製品を摂取するようになり、食生活の変化のせいもあるだろう。明らかに「肉食」の野性的なにおいが自分から漂っているような気がする。

心の変化としては、母性本能ということになるのだろうが、実はいまだに自分でもこれを母性と呼ぶのかどうかははっきりしていない。多分、もともとは平均的に人と比べて、際立って母性本能が強いわけでもないわけでもなかったと思う。子供に関しても、特別好きというわけでも嫌いというわけでもなく、いたってニュートラル。「かわいいな」って思ったり、「くそガキ!」って思ったりというのは、相手によるという感じで、今もそうだけれど、子供は苦手でも得意でもない。ただはっきりしているのは、今まで苦手だったというか、受け入れがたかったのは、子供を目にすると「私、母性本能に溢れてます!」って、全開でオンナ度をアピールする独身女性のほうだったかもしれない。なんかそういうのをあからさまに傍らで目にすると、出遅れたっていうか、ちょっと引いてしまって、子供に対する関心が一気に冷めてしまうことが多かった。

だから母性ということに関しては、理屈を抜きにして、手放しに目の前の小さな存在を愛しいと感じることだと定義するとしたなら、多分、確実にそれに目覚めてきているのだろう。ジェダイの存在を意識して以来、不思議なくらいに自分のなかでのいろんなプライオリティーが入れ替わった。昔はこだわっていたことや、気になっていたことが不思議なぐらいどうでもよく思えるようになり、いろんなことを先の長い目で考えるようになったと思う。

既に子供を出産した、昔からのある友達は、出産した後もなかなか母性を感じられずに、それはそれで悩んだという。しばらくは「これからずっとこの子のお世話をしていくのかー」って思うと呆然としてしまったそうだ。それが今では本当にいいママになってしまっているのだけれど、思うに、母性を感じないというのはそれはそれで、母親失格ではないだろうか? と感じたり、辛いことだと思う。

そういう意味では、自分はごく自然に子供を持つことを受け入れられたように思う。20代で果たしたかった夢を自分なりに叶えてきて、日本に戻ってからは次の目標が見つからずに、ちょっと抜け殻のようになっていた面もあったので、次の大きな課題を与えられたようでもあり、あくまで自己中心的に物事を考えるとしたら、自分としては幸せだった。

それにあっという間に母親としての自覚をせねばならず、人からは大変なように思えるかもしれないが、逆に言うと、あれこれと悩んでいる暇もなく、現実的に物事を考えていかなければならないので、そういう意味での辛さは人より薄いかもしれない。というか、私の性格上、これが早い段階でわかっていたとしても、出産までとても待ちきれなかっただろう。順調に行けば、わずか2ヶ月ちょっとで我が子と対面できるなんて、なんて幸せなんだろうとも思う。

今日は午前中、通販で注文していたローテーブルが届いた。新居探しから始まって、引越しやら、足りないものをいろいろ買い足したりしてきたけれど、これでだいたいが揃った。そしてこれからはジェダイを迎える準備もぼちぼちしなければという感じ。配達に来てくれたおじさんに「ホントに暑いですね~」と声をかけたところ「でもお部屋の中だと冷房効かせてられるでしょ?」と言われたので、「いえ、今妊娠中なので、なるべく自然の空気のなかにいるようにしているんですよ」と返したところ、なんとそのおじさんも先月、お孫さんが誕生したばかりだそうだ。そして実は娘さんの最初の妊娠のときは、6ヶ月で流産してしまったらしく「当時は若かったから重いもの持ったりして無理しちゃったからダメになっちゃんだよねー。重いものとか持っちゃダメだよ。体大事にね」と言ってくれた。そして「お孫さんかわいいですか?」と訊ねたところ、「もうかわいいなんてもんじゃないよ! かわいすぎて殺しちゃいたいぐらい!」と、目じりを思いっきり下げながら、べらんめぇ口調で返ってきた。

あぁ、うちの両親もそんなふうに言ってくれるといいな。あともうちょっと、ジェダイを大事にしなくっちゃって改めて思った。本当は赤ちゃんってそんなにも弱弱しいものなのに、何度も思うけど、本当に強い子だ。