dimanche, juillet 02, 2006

Non plus...

『それ以上はもう……』

昨日はある意味いちばんヘビーな日だったかもしれない。

現在、私の社会的身分は自由業者。一応、フランスを経つ前に働いていた会社に復帰させてもらえるということで、帰国前に既に連絡はしていたのだけれど、いろいろ会社の都合とか、タイミングとかあって、当面はフリーランスという立場でお仕事させていただくことになった。私のほうも在仏中、そして帰国後すぐに時々お仕事をいただいたりしていたところとの関係も大事にしなければならないと思っていたので、あとはまずはこちらでの生活も落ち着かない状態で、当面はちょっと面倒くさいけれど、それでもこうやって帰国してすぐにでもお仕事をさせてもらえるというだけでも、とてもありがたいことだと思っていた。まぁ日本に帰ってきたんだし、これからのことは慌てずにゆっくり考えていこうかと。というか、自分の国に暮らしていれば、許可なく、なんの制限もなく働くことのできるということだけでも、なんとありがたいことだろうかと。

ところが自分の人生において、予期せぬ展開が起きた。でもそれを驚くほど前向きに、冷静に受け止めていた自分。というか、子供をひとりでも育てていくという覚悟を決めたからには、四の五の言える状態じゃなくなった。

この先のことは、もちろんそんなに甘いものじゃないということは、子育てをする世のお父さん、お母さんから言われるだろう。でも今はとりあえず、不思議なことに経済的な不安というのはあまりない。いざとなれば、なんだってできると思うし、それからこれから自分と子供の生活のために、事業を起こすとか(日仏に絡めてネット事業でもなんかできないかな?)、逆に逆境を自分にとっての新たなチャンスになると考えればいいと思っていた。必然的にこれから仕事は制限せざるを得なくなるし、出産までは今よりも時間ができるだろうから、育児の勉強をしたり、新たな計画を練ったりするのに時間を割いていきたいと思っていた。

ただ将来のことを考えて、どうしても不安に思うのは、自分の子供にお金では買えないものをどうやって与えればいいのか、説明していけばいいのかということ。例えば、パパが欲しいと言われたり、兄弟が欲しいと言われたとき。実際、自分自身も一人っ子で、小さいころは自分に兄弟がいないことでとても淋しかった。今でも、この先、両親が死んでしまったら、私は本当に一人ぼっちになってしまうなぁということを考えていて、だからこそ、自分の子供が欲しいという気持ちが強かったのかもしれない。

MSNでの彼との会話は、相変わらず平行線をたどったままだ。あまりに噛み合わなくて、正直、もう話すことが嫌になった。それに彼はものすごく私を誤解している。私が彼をつなぎとめるために、子供をつくった、罠にはめたと思っているような節がある。彼は「子供はおもちゃじゃないんだ」と私を攻める一方だ。「じゃ、どういう解決策があるか、あなたの意見を提示してちょうだい」と言っても、何も言わない。「僕やその子供が幸せだと思うか?」と、結局自分のことしか考えていないことがわかって、そんな男に失望し、そんな男を愛した自分の見る目のなさが本当に情けなくなってくる。挙句の果てには「『mon enfant(my baby)』って言うな、『un enfant(a baby)』」とま で言われてしまう始末。私としては特に意図はないんだけれど、そこは単に翻訳上の差異から生まれる意識の違いだと思っているのに。なんだか、そういうことまで想像力がおぼつかない、この男の人間としてのレベルの低さを感じて、それ以上話す気になれなかった。でも私も、大人気ない態度は絶対に取りたくないと思ったけれど、「じゃ、生まれてきた子供を殺せって言うの?」と反論。そして、その後、冷静さを取り戻すため、外の空気を吸いに出て、自己嫌悪に陥ったり、いろんな複雑な気持ちが絡まったりして、「今、私がこの世から消えてしまえばすべては解決するのかな? どうせもしかしたらこの先短い余生かもしれないと覚悟もしていたし」と一瞬でも思ってしまったこと、一晩経ってちょっと恥ずかしく思う。たったひとりの理解が得られないというだけで、両親をはじめとするそれ以外の理解をしてくれる周囲の人たちを裏切ったりしてはいけないのに。

昨日は、2つの仕事先の仕事をかけもち。午後一で記者会見に出席して、その後は昨日入稿の特集を担当している古巣の編集部へ。本当はそんなふうに無理すべきではないのはわかっているのだけれど、仕事に集中している時間は、プライベートな問題を一瞬でも忘れることができる。

結局、昨日は特集の入稿を途中で人に任せて退社させてもらう。自分ではこれ以上、周囲に迷惑をかけたくないし、最後までがんばりたかったのだけれど、結局ありがたくお言葉に甘えさせてもらうことにした。それでもその時点でも既に終電の時間が過ぎていて、ふつうは泊まり勤務になるところを、タクシー代までどうにか工面してもらうように計らってもらって、感謝の気持ちと理解は必然に尽くしがたい。都内でもかなりはずれに住んでいるし、深夜なのでタクシー代は高額になってしまう。帰宅後、無事に到着した電話を入れるべきだったのだけれど、結局、その後気力が尽きてしまってそのままにしてしまい、さらに罪悪感。もしかしたら、その人がここを見ているかもしれないので、今度ちゃんと直接お礼は伝えるとして、とりあえずこの場でお礼を。(それと、領収書はちゃんともらっておいたので)